早春に咲く『寒緋桜』 | 花の会

早春に咲く『寒緋桜』

寒緋桜

『寒緋桜』は中国から台湾にかけて分布する桜。
  日本では沖縄の石垣島、久米島に自生する。
  日本の桜の祖先といわれるヒマラヤ地方に自生して、
  11月頃に咲く「ヒマラヤ桜」に似ている。

  花の色は濃い紅紫色で淡いものや白いのもある。
  花が筒状で下向きに咲き、花びらがあまり開かない、
  この特徴から、学名をカンパヌラタ「鐘形の」と名付けられた。 
  花びらはほとんど開かないで落下する。 
  花は多量の蜜を貯める為、メジロやヒヨドリが訪れる。
  
  別名「緋寒桜」(ヒカンザクラ)  「薩摩緋桜」
  九州では元日に咲くので「元日桜」とも言う。

『琉球寒緋桜』(リュウキュウカンヒザクラ) 寒緋桜の変種
   花が釣鐘型でなく半開し、花の色も薄い桃紅色

早春に咲く桜は「寒緋桜」や「しな実桜」との交配種が多い
寒緋桜の系統は赤い桜で、支那実桜の系統は白い桜が多い

代表的な早咲き桜
1、山桜の系統
1-1「寒桜」(カンザクラ)  淡紅色小輪一重
                寒緋桜と山桜の雑種
                東京で一番最初に咲く桜

1-2「横浜緋桜」(ヨコハマヒザクラ) 紫ピンクの大輪一重
                寒緋桜と兼六園熊谷との交配種
                昭和60年白井勲氏が登録      

2、大島桜の系統
2-1「大寒桜」(オオカンザクラ)  淡紅色中輪一重
                   寒緋桜×大島桜
    埼玉県川口市安行で発見されたので「安行寒桜」「遅咲寒桜」とも言う。
 
2-2「河津桜」(カワヅザクラ)    紅色中輪一重
                    寒緋桜×大島桜
         伊豆河津町の飯田勝美氏(故人)が1955年(昭和30年)頃
         自生していた原木を河津町に移植 早咲き桜として有名

2-3「伊豆多賀赤」(イズタガアカ)  角田春彦が作出した桜

2-4「修善寺寒桜」(シュゼンジカンザジュラ) 花はかなり濃い赤中輪一重 
               寒緋桜×大島桜
               原木は伊豆修善寺境内にある。

2-5「紅鶴桜」(ベニヅルザクラ)  淡紅色小輪一重
                    寒桜と染井吉野の雑種と推定
                    神奈川県真鶴で発見

2-6「陽光」(ヨウコウ)      紅色大輪一重
        愛知県の高岡正明氏が天城吉野と寒緋桜を交配して作成
        昭和56年品種登録

2-7「紅姫」(ベニヒメ)  明赤紫色中輪の花  
               寒緋桜と天城吉野の交配種
              平成2年 高岡照海、正明、豊氏が登録

注1「天城吉野桜」(アマギヨシノ)  白色から基部は淡紅紫色になる。
    国立遺伝研究所でソメイヨシノを研究するなかで生まれた
    大島桜を母  エドヒガンを父としている。
    反対に「伊豆吉野」はエドヒガンを母 大島桜を父として生まれた品種
    「ソメイヨシノ」についてはまだ結論が出ていない。

注2「玉縄桜」(タマナワサクラ)  淡紫ピンクの中輪一重の花  
        染井吉野の自然交配種
        平成2年鎌倉の市川正温、小栗義隆、内藤忠氏が登録
 
3、豆桜の系統
 
3-1「オカメ」  紅紫色の長楕円形で先端は深く切り込む花弁は5
         寒緋桜と豆桜  
         イギリスの桜愛好家が作出

3-2「富士菊桜」  淡紅白色小輪の菊咲き 2~3段咲きもある。
           静岡県天子岳で発見 昭和56年登録

3-3「加茂の曙」 淡紫ピンク小輪菊咲き  
          加茂市の山中で発見された変種株
          昭和60年 坂上長作氏が登録

注3「藪桜」(ヤブザクラ)  
注4「星桜」(ホシザクラ)
           どちらも白色から少し淡紅色を帯び中輪一
           東京多摩丘陵に自生する桜  豆桜の変種

注5「小彼岸桜」(コヒガンザクラ)は豆桜と江戸彼岸の雑種と推定されている。

4、支那実桜の系統

4-1「椿寒桜」(ツバキカンザクラ) 紅紫色 
          寒緋桜とシナミザクラか寒桜との雑種
          別名「高知雪割桜」  「初美人」
          原木は静岡県・伊豆比古命神社(椿宮)にある。

写真は寒緋桜